So-net無料ブログ作成
検索選択

ぱねんちゃんちら [は行]

大学時代の担当教授と、メールでちょびっとやりとりをした。少なくとも7年ぶりとかくらい。

不定期に、ニューズレターが配信されていて、哲学の卒業生がどこそこで先生になりましたとか、何某教授がどこそこでレクチャーしますとか、結婚しましたとか、多種にわたるアップデートが来る。で、最近のニュースがあったら情報をおくれね、というメールが来たので、連絡してもいっかなーと思って、したわけです。《えと、新人賞をもらえて本がでました。日本のアマゾンの頁はこちら。日本語の本で、英訳される予定はないし、SFの賞ですが、ゴシック風味という噂……。》

そしたら律儀に、お返事くれて、卒業したのは9年以上前なのに、事細かに覚えていてくれ、ひそやかに感激。《先週、パサデナを通ったときに、ちょうどYUKAを思い出しました。ここの美術館であなたはインターンシップをしましたよね。》

してた! してたよ先生、私自身、忘れていました。

この先生、非常にうだつのあがらない感じが、真面目そうで好感度な、うだつがあがらない紳士で好感度って、けっこう難易度高いと思うんだが、アメリカの大学の教授って概してエラそうなんだけど、一見、なんだこのおっさん、という慎ましい感じだった。かなり豪華な木目調の教授室で、机に向かってお昼にジップロックあけて、奥さんがつくってくれたっぽい慎ましいサンドイッチを頬張っていた。私が時間より遅れて面接に行ったのに、サンドイッチ食いながらでかまわないのに、それを脇によけ(生徒に対して失礼あっちゃならないという感じで)手についたケチャップマスタードをズボンでこすっちゃって、あ、Yuka来たね、よかったよかった、と。おいおい……ソース付いちゃってませんか、と思いながら、私が内心あわてると、それに気付いてかナプキンを取り出して、せっせと手を拭くんだ。そんなおじさんが、メタボだと減点なのだが、もともとクエーカー教徒出身だかで、節制が身に染みついているらしく、ぼそっとしてるけど、おなかでてないし、離れたキャンパスにも、さくさく歩いて行っちゃうし、笑顔は優しいし、採点は容赦してくれない。良い先生だった。

わたし、大学院進みたいかもなんですが、って話をしにいったとき
「美学論か、自殺について(哲学的観点における自殺について)勉強できるところ知りませんか?」
と訊いたような漠たる記憶が。(これがもうほとんど覚えてないよ。いいかげんだな。)

すると「うちの哲学はメインが神学分野だから、そちらの分野につながりはなく、残念ながらここがいいよと紹介できる大学院を知らない、むろん推薦状は書くけども」と非常に誠実に答えてくだすった。

そこで自力で開拓して行った大学院が、自分のやりたいこととかけ離れていて、おまけに担当アドバイザー教授と今度は非常に折り合い悪く、彼らはアジア人=数学優秀という偏見を、私に押しつけ……。どうやらGREスコア(大学院受験用の一般教養試験みたいなやつ)が、ネイティヴ哲学進学生より、英語成績において低めだったからってことなんだが。でも、だからって数学ができるわけじゃない。読解力が低いわけでもないんだ。あえて言おう、高いのだと!

今となればよ――本の一冊も出せたので読解力あります、と虚勢のひとつも張れるかしれないけど、一介の外国人学生が、私、読解力ならあります、GREの国語(英語)のスコアからでは顕著ではありませんが、私の数学が絶望的なの、わっかんないのかなあ? 
と主張したって、信憑性に欠ける困った子で、いやいや君は理数系哲学が向いている。このコースとこのコース取って……と頭から決めつけられ。担当教諭のサインがないとクラスを取れないので、数学脳が壊滅的な私には、少々、不幸な仕儀に陥った。

そんな院時代の先生とちがって、この大学時代の先生・カルプ教授は、

《今期から、美学論の教授が入って、一~二年後にはうちでも美学論のコースができる予定です。》

わたしがちょろっと、美学論やりたいんだけど、と言った事を覚えていて、哲学から遠ざかっている私としては、申し訳ない気分になるくらい。

んで先生は《僕は本は出版してはいませんが、スタンフォード大学哲学事典でPanentheismについて書いています。》とのこと。へー、パネンシイズムかー、ぱねんしいずむー、ぱねんてー……
わからん! やばいこんな単語、覚えてない……てか、知らないんじゃないか私もとから……。

そそくさと調べて、あーは! わかった、わかったような気がする。ようは汎神論だよな! へっ。 
と思ったら、汎神論とは違うらしく、PanentheismについてWikipediaで調べると、Culp教授が外部リンクのトップに出てくるので、ぬぅ……ぱねんなんちゃらの先駆け、専門家なのね。

Process Theismってやつと類似かとも思うのだが、まったくあやふや、やばい……もうわたし哲学専攻ってブックカバーの裏表紙に書くのやめたほうがいいんじゃないか……。忸怩たる心地をちょびっと味わう。(味わってすぐに忘れる。)

ちなみにPanentheism、日本語にすると「万有内在神論」と訳されるようで、この字面を見ると、
「なーんだ簡単ジャン。八百万の神をまつっちゃう日本にはおなじみの考えよっ」
と、一瞬おもいがちなんだが、そちらはたぶんアニミズムに帰属し、まったく別の単語と意味になり、おそらく世界観の方向性が真逆です。
トラックバック(0) 

トラックバック 0