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死人花 [さ行]

「死人花」といえばこの時季、見ごろの彼岸花の別名なわけですが、死人花といってパっと連想するのは実に桜花だったりもします。しませんか? ほらだって、……花よりもなほ我はまた~と詠んで、庭先で切腹命ぜられた浅野内匠頭が死ぬのも、花散る桜の木の下で。

梶井基次郎「桜の樹の下には(青空文庫)」の、『桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる! これは信じていいことなんだよ。何故つて、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことぢやないか。』
……っていうのはあまりに有名だし。私は中学のときたしか国語の授業で知ったような。桜の花の美しさは、剃刀の刃と同様の美しさ、墓場を暴く惨劇のような憂鬱に似ている、とかいう中身。

坂口安吾の「桜の森の満開の下」でも、
……彼は始めて桜の森の満開の下に坐っていました。いつまでもそこに坐っていることができます。彼はもう帰るところがないのですから。
……とか。文学にかぎらず、漫画とかでも、たとえば今市子の『百鬼夜行抄』に、桜の木の下で待ち合わせ、というエピソードがあったけど。満開の桜の木の下に行き着くイベントは、かなりの率で死亡フラグ。満開の桜の木における死亡フラグは、夜桜であれば尚更その確定率は、昭和二十年八月六日広島における快晴の午前八時ごろの朝並なのだ。

むかし読んだ忠臣蔵の本で、四十七士が討入りを済まして、お上の判決が出るまでお屋敷におあずけになって。さて全員切腹の命が下ったとき、そこの家人が、お上のお達しを赤穂浪士になんて伝えたらいいんだあ、とてもじゃないけど言えねーよ、でも言わねばだ、ってなって。そうだ、床の間に花を飾ろう。罪人の床の間に花、侍の彼らには通じるぜ。っつうので花を生けるっていうエピソードがあった。花って、おめでとうに贈られて嬉しいハッピーアイテムでありつつ、奇麗さゆえに、不吉めいた影も。

欧米で薔薇といえば吸血鬼、吸血鬼といえば間違いなく薔薇がつきもので、吸血鬼に薔薇アイテムは必須ですよ!……な感が否めぬように。桜はバラ科なだけあって、日本で鬼とか夜叉とか吸血鬼とかいうときに、外せないよなあ。吸血鬼には、薔薇がよく合う。夜叉に桜はよく似合うんだよなあ、と思います。

フラグには、死亡フラグのほかに、最近では負けフラグとか、生存フラグとか、いろいろあるみたいですが、私が勝手に思う「殺戮フラグ」は、映画等で見受ける、主人公が白い服を着て出てくると、かならず何かしら良からぬ殺人・および殺戮が起きるっつう。

たとえば王妃マルゴが白い服を着て兄王に跪くときも。
リベリオン:Equilibriumでも、クリスチャン・ベールの演ずる主人公が、白い服で敵陣本部に一人乗り込み、大健闘(殺戮)を展開の巻。
コードギアスにおけるルルーシュの皇帝服も白いので、嫌な予感はそこはかとなくあったけど……。
信長の本能寺とかも、あれって寝込みを襲われて白い寝巻って意味でもあるけど、どの信長も冴えわたる白い着物で登場するよな。

己の血か、誰の血か、その白地に染みこむ血との対比を色覚的に演出するためと、身の潔白とか覚悟とか壮麗さとかなんかそういうの全部ないまぜにして、白い衣装で主人公が登場してくると、うぉーっとクライマックス感が一気に高まります。

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