So-net無料ブログ作成
検索選択

タランティーノ詰め合わせ [た行]

ブログで公開映画のレビューは絶対にしないんだ。これから見る人たちがいるんだから……!
という、自分で決めたルールをこれまでどおり遵守するけど、
「イングロリアス・バスターズ」
しびれた。

感想を漏らせば(だからあくまでもレビューじゃないのだ)
もうなんか、ことごととく。
一場面、一場面ごとの舞台設定が、映画好きには、こう、たまらない。

タランティーノ作品で、私が一番好きなのはレザボア・ドッグス。
……次はパルプフィクションかなあ。

フロムダスク・ティルドーンとか、キリング・ゾーイ(これは製作のみか)、トゥルーロマンスとか、いずれもタランティーノ初期の作品のほうが圧倒的に好き。最近のはなんだか……タランティーノよりも、初期のタランティーノを思わせるガイ・リッチーの「ロックストック~」や「スナッチ」のほうが面白いや、になっていた。でも今回のイングロリアス・バスターズ、レザボアドッグスの次に好きになった。

こういう映画を、おおっぴらに「面白い」とか言うことに抵抗は少しあるが、仕方ない。
アメリカだと、まず簡単に言えない(……白い目で見られるから)。それだけ映画が、むこうじゃ年齢・職業・世代・人種を問わず世に浸透してる……ってことでもあるんだけど。日本人が、外国人の殺しあう映画を見るよりも、アメリカンはその舞台も人物も、身近によりリアルに感じるわけだから、顔をしかめるのはわかる。言葉もすごいしな。

日本でパルプフィクションのDVDかサントラだかを売りに出している駅ビルのCDショップが、冒頭のシーン、ハニーバニーがコーヒーショップで、
"Any of you fucking pricks move, and I'll execute every motherfucking last one of ya! "
と叫んで、オープニングに入る音声をがんがんリピートでかけていたとき、私ですら、ぎょっとなったから。おい……駅のこんな公の面前で、口に出せる言葉なんかこのフレーズの中には殆んどないぞ。下品用語をさておいても、私は一瞬、ほんとうに立てこもりあったのかと慌てたからな。オープニングがかかって、ようやく、おぉおおパルプフィクションー、びっくりさせんなーと思ったくらいだった。既に何度も見たシーンなのに、わたしすらが一瞬、耳を疑う英語なのだ。ネィティヴがだしぬけに聞いたなら、げぇっ!
と、反射的に顔をしかめる言葉には違いないのだ。

でも今作のは現代ものじゃないし、ある種、リアルすぎずに見られるんで、純粋に作品の面白さを味わえるから、評価が高いんじゃないかなあと思う。シーンごと、フランス語だったりドイツ語だったりイタリア語だったりの英語字幕が多いので、下品用語は、高潔なナチ一名がF~Youって言うくらい。敵はナチだし。どんなに打ちのめしても怒られない相手だから、もうタランティーノ節が、のびのびとさえしているよ。

初期のころのタランティーノの、ぞくぞくドキドキ緊迫感がヴァージョンアップ&洗練されて、
……トゥルーロマンスの、デニスホッパーとクリストファー・ウォーケンとのタバコのシーンとか、
レザボアドッグスのラストの三つ巴四つ巴の撃ち合いシーンとか……
かかるタランティーノ映画の残虐性?
が、詰め合わせになっている。もういっそすがすがしいよ、ここまでくると。

あほっぽい愉快なシーンと同じくらい、息詰まる胸に迫るシーンも多い。からっと軽快だけど、実は悲痛。予想よりエグさは軽め。おぞましく不味いゲテモノを、うまい味付けでぺろっと平らげちゃったもはや罪悪感だよみたいな後味。

かっこいいんだが、高踏な恰好良さではなくて、低俗なかっこよさ。低俗なのにカッコいいんだ。登場人物が、その場その場で身分を偽っていたり、会話を偽っていたり……誰もかれも、映画自体が、どこそことなくエセっぽい。ナチもユダヤ狩りもフランスも架空の産物ではないのに、物語としての説得力は充分あるうえで、あくまで偽ものっぽいのだ。嘘くさく仕立てることに、全編通じて精魂を傾けている感じ。
トラックバック(0) 

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。