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嘘つきのパラドックス (自己言及のパラドックス) ① [あ行]

工事中のくせに記事を足す。
いいのかそれで。

「コードギアス反逆のルルーシュR2」を見直してます。
なんで今頃?……って、米国版(正規品だよ)は今頃Turn 19までが出たのだよ。
米国版だと一枚分のDVDケースにDVD2枚装備。一枚のDVDに3話ずつ入っていて、
まとめてがっつり見れる感も、場所を食わない感じも、なにかといろいろ有難い。
むろん日本語で見るわけだが、英語の字幕をつけたきゃつけられるし、
英語の吹き替えを聞きたきゃそれもよし(そんな馬鹿げたことは、まずしないがな。台無しだもの)
まあ楽しみ方が増えるというもの。

これ、去年の10月に予約して、11月くらいに出るはずなのが、出たの今頃よ。
アメリカどんだけ景気が悪いんだろう。

コードギアスの何が好きかって、怒涛のストーリー展開、だらだら続けないテンポの速さとか、
つまりそれは一話一話に凝縮されてる内容の濃さとか
(これで1シーズンやっても持ちそう、ってのを一話分でがっつりやる)。

強力なSF設定、SFガジェットに振り回されず、
SFを存分に使いこなして尚ぶれない根底のストーリーラインとか。
さまざまな登場人物の腹と思惑、因縁と。
妹キャラや弟キャラが、兄キャラ主人公にとって安易で都合のよい「生きる目的」「救出すべき姫」「従順かつ頼れるお供」とならない点も。

主人公は、ほとんど悩まない、悩むシーンがないあたりも、
つか、ルルーシュはしょっちゅう苦境に陥って、カリカリ悩むっちゃなやむが、
それは戦略的に頭を悩ませているのである。
いろいろ企てる悩みであって、トラウマ風に悩んでみせない。
だが猛烈にすさむ、荒みまくり。
憎悪がエスカレート、あれよあれよと、どんどん非情で過酷な状況に、敵も自らも追い込んでくとこや。
そのくせお育ちの良さが、ちらほら滲みでちゃう、高潔なほころびとか。

で、この物語の落とし前、最終的にどうやってつける気なんだ、と思ったら、
みごとに派手にやってみせてくれたところとか。
それだけでなく、いろいろあるんですが。

そんな中で、私がこうも「面白いなこれ」と、はまったのは、
たぶんルルーシュの台詞まわしの良さにあります。セリフ。
内容云々以前にセリフ。
ルルーシュは、とかくいつでもセリフを言っている。
ルルーシュ=ランペルージだったり、ゼロだったり、ルルーシュ=ヴィ=ブリタニアだったり、
その役目役割の言葉を自らを使い分けて、
相手に聞かせるべき言葉、あるいは相手が聞きたい言葉、言わなきゃならないメッセージ、
伝えるべき必要な情報を計算高く言うせいで、ほとんどの言葉が、まず「台詞」。

なにかしら裏腹だったり、あざとかったり、いつでも100%真実なときがない。

くわえて当人のモノローグがあり、
だいたいが上品な罵倒、皮肉な悪態、自嘲めいた黒笑い。
この話、ルルーシュが喋りっぱなしなのね。
モノローグの洪水が、最早ほとんど文学チック。
文語ではないけど、今どき口語であんまり聞けない言葉遣いを、違和感なく、立て板に水ですよ。

たとえば、R2の有名どころである(?)
「さんざん使い倒して、ボロ雑巾のように捨ててやる」
この手のセリフは、今までにも冷酷に淡々と述べる、不感症気味なクールキャラとか、
又はちょっと低脳なやつが、グヘグヘ笑いながら言ったりするのなら見たことある。
が、
自分に「弟」を語り、偽りつづけてあいつもこいつも手にかけてきたスパイを、
ついに篭絡し、おとしいれた瞬間。
悪だくみに満ちた、なめらかな昂揚感ある声で。
標的への憎悪と、自己満足の確認として、悪辣なモノローグ、言ってのけます。
もう爽やか。いっそ、すがすがしい。もっとこの声を聞いてたい、何度も見たい、ってなるのです。

そんだけ喋るルルーシュのくせに、感情を直接、ぶちまけない。
打ちのめされて、腕にヤクを決めそうになったときですら、
それを見咎めたカレン相手に、上品かつ卑猥にネチネチ迫ってみせて、見事ひっぱたかれました。
あれ、明らかにひっ叩かれにいってたし。ひっぱたかれるように誘導してたし。
ルルーシュの期待通りにひっぱたいてやるカレンは、えらい。友情に厚い。

スザクに向かっての「裏切ったなスザク、俺を裏切ったなああああ!」
でさえ、裏切られたって事実を口で確認してるだけで、
起こった状況を言い表してるに過ぎない、リアクションなわけです。
http://www.youtube.com/watch?v=MAc3anRYhR4

そんなルルーシュが唯一、心底、自発的に内面の感情を吐露したときが、
私は全体を通じて、二回くらいあるかと思っていて、
一つは最後、妹ナナリーに「ああ……」って答えたその短い溜息めいた返事を入れるべきか。

んでもう一つは、「ナナリー死亡」の報せが入ったあと。
偽りの弟ロロのロケットを、携帯ごとひっつかんで、投げつけるシーンです。
あの罵倒のシーンは唯一ルルーシュが本気で本音をぶつけちゃった、
自分を見失ってるぞ、な場面で、
その、今どきの若者と思えぬ台詞まわしが、とにかく私はツボに来てたまんない。

「どうしてお前が持っているんだ――
これはナナリーにあげるつもりだったんだよ、ナナリーに!
お前なんかがナナリーの代わりになるものか、この偽者め!

まだ気付かないのか……? 俺はお前が嫌いなんだよ、大嫌いなんだよ……!
何度も殺そうとして、ただ殺しそこねただけだ。

出ていけ!
二度と俺の前に姿を見せるな。でていけ!!!

……あーあ、言っちゃった。何度も殺そうとして、殺し損ねたことまで言っちゃった。
「この偽者」って、ロロがあきらかにダメージを受けるの知ってて言わずにおれなくなってるじゃん。

ちなみに字幕はこうなってます。

Why do you have this?!
I wanted to give this to Nunnally! To Nunnally!
You think you can replace Nunnally in my heart?! You damned imposter!

Haven't you figured it out yet?
I hate you, I despise you!
I've tried over and over to kill you,
but I just keep missing the chance!

Get out of here!
I never want to see you again!
GET OUT OF HERE!

で、これを再び、そのまんま日本語に直すと、

なぜお前がこれを持っている?
これはナナリーにあげたかった、ナナリーに!
お前が、俺にとってのナナリーの代わりなどつとまると思うか、この偽者が!
まだ分からないのか?
お前が嫌いだ、軽蔑してるんだ、何度も殺そうとした、ただその都度、機会を逃してきただけだ。

でていけ!
二度とお前に会いたくない。
出て行け!

――になります。
違うよね。
You damned imposter!
は、おぉお~! ぴったり! さすがプロの字幕職人。
でもあとは同じ内容でも当然、最初のオリジナルのほうが、ルルーシュらしさが出まくってるわけで、
この差異にあるルルーシュらしい言い回しがツボなのです。

ちなみに吹き替え版では、これまた字幕とかなり違っている。
英語字幕って、英語のキャプションとは違うのね、ほんと。
(キャプションは、たぶん耳が不自由の人を想定しているため、咳払いとか、溜息とかまで、全部入っているのですが。)

吹き替え
What are you doing with this?! It's Nunnally's.
I wanted to give this rocket to nunnally, Not to You. TO Nunnally.
You think you can ever replace Nunnally in my heart? You're an imposter!
Haven't you figured it out yet? I hate you. I loath you, I despise you.
I've been trying to kill you but I just keep missing the chance!
Get out of here! I never want to see your face again!
I said GET OUT!

一見、ルルーシュの原文台詞を忠実に訳してるのは字幕のようで、
実はこの吹き替えのほうが、かなり、ルルーシュの言い回しにこもってる細かなニュアンスを、
適確に伝えていますね。
I loath you,
すごい。ルルーシュの「大嫌いなんだよ」に込められた本気の悪意が来る。
吹き替えの声がイマイチすぎで、台無しだけどな。

尚、ちらっと聞きかじったのだと、英語版はニーナだけ、当人かというくらいそっくりそのままです。

――②につづく
~Lelouch's laugh collection~
http://www.youtube.com/watch?v=wWksbtx5JW4&feature=related
~ルルーシュの黒笑いコレクション~
ルルーシュの黒笑いに、ほれぼれして、つられ笑うのは、海外組ばっかりなのか?

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