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中性脳 [た行]

ピングドラム15話「世界を救う者」
5回に1回くらいのペースで、すっごく面白い回がくるっぽい。

ゆりさんの回想シーンは、もろ、元祖「高校教師」の繭(桜井幸子のヴァージョン)まるかぶり。
あれも父親が彫刻家で。ああいう――表向きはれっきとした人物。
母親が不在(死)で、閉塞的な家庭環境で、父親の病的嗜好の暴走がジワジワと、
一人娘に長期間にわたって及んでるんだよね。
娘は本心はいやなんだけどいやって言えない立場に追い込まれていて、
これでいいの、って納得してるつもりで、
それでも繭は、高校教師の羽村先生の下駄箱に「助けて」って無記名で手紙を入れている。

今回のゆりさんの場合は、まだ小学生だから、
まんまといい手すさびにされて身の毛がよだつのがハンパない。
でもあくまで直接的な表現はなくて、ただ超美少女のゆりさんにむかって
「お前はママと同じで醜い。だからきれいにつくりかえてあげよう」
ってなお為ごかしなせりふを言い放ち、ノミとかツチとか持ち出し、
娘を「芸術品」という名のおもちゃにしていく父親がマジ変態。
日増しに、包帯ぐるぐるまきの腕を、首から吊ったり、脚にギブスみたいなのつけたりで、
体をひきずって歩くユリさんの姿が示す虐待の暗喩が、却って怖い。

ちなみに父親が、ゆりを孤立させ、誰にも助けを求められないようにするために、
「友達でもできたのかい? ステキな子かい? なら信じちゃダメだ。
ステキな子っていうのは、自分がステキかを確認するために甘いことを言ってだますんだ」
ってなことを言い含めている。
どこでもほとんど例外なく、このゲスジジイみたいな悪質で横暴な嘘つきってのは、
嘘をつく相手に他者との交流を望まないわけで、
(知恵がついたり、いろいろが、ばれたりすると困るからね)
よその人とやりとりするな=「たちの悪い嘘つき」フラグが立つわけです。

しかし一方でこの「クラス一番の人気者は一番嘘をつくのがうまい」
という訓えはアメリカのわりと最近の学術論文で発表された、実験に基づいたいわば事実です。
(Lie To Me #2)のエピソードもそんな警句が出てきていた。

実験はたしか、ものすごく酸っぱい耐え難い食事をとらせて、その表情をチェックする。
マズッというのが顔に出ちゃう生徒と、即座に平気な顔をつくろう生徒とで、
平気な顔ができる生徒はみな、クラスの人気投票でトップの生徒だったらしい。

この「嘘」ってのはつまり巧言令色、
自分の不快感などを表に出さず偽るのがうまいっていう意味。
いわば「空気が読める」「つねに相手を気遣う」ってことなので、
ユリの父親が言う、
「ステキな子はお前をだます。偽者だ。(だからデタラメで狡猾でお前を駄目にする)」とは、
巧みに論点のすり替えが行われているわけだ。
一片の真実を駆使して、本当のことを言ってるふりで、
ちびっ子をだまし自分の都合良く束縛する、紳士ぶったあざとさがいやにリアルだった。

「高校教師」では大人(先生)の介入があっても、結局悲劇に終わる感が否めないけど。
ピンドラは女の子同士の友情が炸裂。
小学生の桃果が、頑なになってるゆりの異変に、的確に対応するのが感動的。
ピングドラムのパワーを使って、桃果がゆりを助けて世界の風景がガラッと変わる設定は
ゾクッときた。
幾原邦彦監督は本当は女なのか? 太宰並です。

謎が紐解かれてくる感じに、期待感が募るし、
みんなそれなりにあくどくも凛としてるキャラたちがいいんだけど、
冠葉だけ、主人公なのに(あるいはそれゆえか?)あがいても報われない結果が待ち受けていそう……。
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