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甘くない展開にもいろいろ [最近のお気に入り]

友人に、アニメ『進撃の巨人』をおすすめしたら
評判いいし面白そうだけど、巨人が気持ち悪すぎて、巨人にモザイクかかってたら見る……
「私的には巨人に○○○が無いのがもうとても受けつけられないの」
と言われ、納得せざるを得なかったのですが、
「巨人が出ない時もあるから……!」
とかいう無茶なフォローを入れました。

登場人物がいいとか、世界観がいいとか、立体起動のベルトがいいとか、
あちこちで言及されてるみたいだし、激しく同意なのですが、
やはり物語の展開のしかたと、
惜しみない芸の細かさ(しかしそうとは気づかせない、むしろ初見はざっくり案外大雑把に感じる)
そのつくりこみも好きです(ちなみにわたしは原作未読)。

第五話「初陣―トロスト区攻防戦①―」の録画を18分以降から6分ほど、
たぶん放映時から30回くらい見てるんですが、
今週もう第六話が放映し終えたとおもうので、以下ネタバレで語ります。

エレンが巨人に片足をばっくり食われて半死半生で気を失いかけてる時に、友人アルミンが襲われ、
同班の仲間も、ことごとく食われて残りはアルミンだけ、
そのとき主人公の朦朧とした意識に、
アルミンとのキラキラした幼馴染同士のやりとりが出てきます。
この少年ふたりの、夢見るやりとりが素朴すぎて、何度も見るにつけて泣きそうになるんですが、

おじいちゃんが隠し持ってた発禁本をエレンに見せにくるときアルミンの輝いている事といったら。
外の世界について書かれてる本で、

おい、憲兵団につかまっちまうぞ
そんなこと言ってる場合じゃないんだ! 海っていうところがあって、塩水なんだ
塩なんて宝の山じゃないか、商人がとりつくしちまうぞ
とりつくせないほど、海は広いんだ!

ざっくりこんな、やりとりなんだが、
場面の絵も美しいし、じわじわ流れ出す音楽も美しくて、
初見は、一気に地獄絵図と化しつつあった残酷場面との落差に、
きれいなシーンが、わざとらしくなく、清らかに、まずしみます。

で、アルミンが本の中身をエレンに逐一、

「炎の水。氷の大地。砂の雪原……きっと外の世界は……」

と説明する中身に、
数回見続けていくうち、ようやく意識が向きます(わたしは)。

炎の水って溶岩よね。
氷の大地は、北極で、
砂の雪原とは、砂漠であろう。

で、じんわり驚く。

壁の中の世界って、べつに単なる要塞都市で、巨人から身を守らねばならないし、
さほど劣悪な環境ではない。よくある欧州……ドイツとか、クロアチアのドブロブニクとかの風景に酷似だし、
さまざまに問題があるのは毎回、浮き彫りになってるが、
そこまで、歪とも思ってなかった。

溶岩とか、北極大陸とか、砂漠とかいう、
概念すらがないのか!

そもそもエレンが「海なんて、物語の中だけの、空想の話だろ」とかいうと思っていた。

「海?」

海という概念じたいに、んなわけあるかよ、まじかよ状態になってるわけで、
外の情報について書かれている本自体が、ことごとく発禁になってるのはわかるんだが、
徹底ぶりが半端ないぞ。

外の世界をシャットアウトするレベルでなく、
概念自体が根こそぎ消しさられている世界の背景には、
裏にどれだけすごい悪意と陰謀があるか、察しがつきます。

またアルミンがどんだけ異質で賢い子か。

なるほど『家畜の安寧、虚偽の繁栄、死せる餓狼の自由を!』だな……! 

だけど、悪意や陰謀を不穏に匂わす空気は、そのシーンにはみじんもない。
幼い少年二人が、外の世界を夢見てキラキラしている、
ともすればありきたりな思い出描写で、
二人の夢が、素朴で、我々からすれば当然であればあるほど、せつない、
ということに終始しているのが、芸が細いうえ、伏線が超絶自然。

食われつつあるアルミンを助けに、
主人公は、片足の膝下を食いちぎられて、もう無いのに、立ち上がり、
巨人の中に頭つっこんで手を差し伸べてアルミンを引っ張り出すにいたるわけですが、
その後の「こんなところで死ねるか、アルミン……おれは(以下略)」
の展開が実に『進撃の巨人』らしくて好き(ショックだけど好き)。

第一話の後半、ハンネスさんが顔色変えて戻ってくるところからの展開でも思ったけど、
実に、この作品独自の流れです。
よくある少年漫画だったら、
さんざんやられたあと、主人公は起死回生、発奮してなんとか事なきを得る。
(エレンは終始発奮しすぎで、駆逐駆逐しか言ってませんが)

あるいは、
『いどばた会議速報 脚本:虚淵玄の「進撃の巨人」にありがちな事』
というスレを見るにつけて、
Fateとか、マドマギとか、残酷・陰湿・鬱展開に定評のある虚淵玄氏が進撃の巨人を書いたとして、
スレでは「今とたいしてかわらないな」
というみんなの結論に至っていて、私も笑ったんですが、

虚淵玄だったら、死ぬのはアルミンですよ。
号泣するのはエレンです、きっと。
盛り上げるだけ盛り上げといて、エレンが助けに行くのに、アルミンがあっけなく食われると思う。
助けに行くのに、助けられない。

で、屋根の上で「うああああああああっーーーー!」って絶叫・号泣するのは主人公エレンだと。
だから残酷展開に、陰湿な後味の悪さが、ずううっーーと残る。
(それはそれで物語として病みつきになる効果がありますね・笑)

進撃は、主人公のエレンがもう無茶すぎる状態でアルミンを助けるので、
一種のカタルシスと感動が得られるのだ。が、
その直後ですよ、
主人公が、アルミンに手をさしのべて、アルミンも駆け寄るのに間に合わなく、
エレンは腕はぶったぎられるわ、巨人に食い殺されるわで、
想像以上に、最悪な事態になり、おいこれまだ第五話だぞ!

(たぶん生きてるはずだが。第二話時にフラッシュバックで父さんに変な注射されてたし)

その後も、消息一切不明で、主人公エレンは生きてる兆候がゼロのまま。
エレンはしばらくみんなの思い出の中にしかいない。徹底的に不在のまま物語が進んでます(そこらへんも異質)。はやく調査兵団、本格的に出てこないかな……。

残酷の緩急が怒涛のようで呆気にとられるけど、カタルシスもきちんとある、
(でもカタルシスは、更なる悪い前触れの伏線)
という展開が、甘くないけど、いまのところ今後がますます楽しみになります。