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たなばた(七夕) [た行]

七夕なので、
ちょっと『みがかヌかがみ』の話をします。

天女目(なばため)姫
作中「夢浄土」の段に登場する主要人物の一人である、
この天女目という名は、稀少苗字として実在します。

青天目(なばため)氏、
「青女房」の段に登場する主要人物の一人である、
この青天目という名も、稀少苗字として実在します。

昔からある稀少苗字ですよね。
作中で天女目姫と青天目家は関連がある苗字として語られます。

で、皆さんおそらくお気づきの通り、
七夕(たなばた)という単語が、
なばため、
という語と語感的に、かなり類似であるように、
このお話、七夕にまつわる風習がかなり密接に関わってきます。
裏テーマ、裏設定みたいな扱いで、七夕の風習・由来に絡む事象がちらちら垣間見え、
干渉してくる。

表題の『みがかヌかがみ』は、本来の鏡の意味であると同時に、
「夢浄土」の段における不来方と、
「青女房」の段における大正時代、
この二つの世界を隔て、かつまた結び――中核をなしている、とある井戸の隠喩でもある。
この因縁の井戸が絡んで引き起こされる物語世界の経糸(たていと)と横糸を成す題材の一つに、
七夕(たなばた)が有るんです。
(七夕だけじゃないけど)

なので!

今くらいの季節が最もタイムリーな季節柄かなあと思われる。
積読してたり、気になるけどどうしようか……と逡巡しているかたは、
ぜひとも七夕をきっかけに、積極的にお手に取ってみていただけると、
しっくりくるかも、だ!

尚、この『みがかヌかがみ』
牧 眞司氏著の『JUST IN SF(本の雑誌社)』という書評本で、取り上げられております。

牧眞司(敬称略)の個人的見解による、
○冒険○幻想○青春○内宇宙
などのアイコンが『みがかヌかがみ』に当てはまり、中でも
○時間・次元
というアイコンがついているのが、私的にグッときた。

今までも私の著作に関して、
新聞や雑誌を含め、ちら……ほら、と書評をつづってくださる奇特なプロの批評家がいらしたが、
いずれもとても有りがたいの一言に尽きるものの、
……きっと、作者でもなければ本当に些細な部分なのかもしれない、
ちょっとした読み間違い等が散見されるのが常だった。
大筋はあってるのだが。

『カンパニュラの銀翼』のシグモンド・ヴェルティゴのことを「英国貴族」と書かれていたりとか、
(実際はシグモンドは欧州貴族で、英国人であったことはない)
『黒十字サナトリウム』の龍司を「ロシア人との混血」と書かれていたりとか、
(実際は龍司はドイツ人の血が入っていて、ロシア人の血が入っているのは湊だ)
いずれも異なる書評家のかたなのだが、そういった微妙な読み違いなのか書き間違いなのか、
たぶん時間的な制約とかもあって、急いで仕上げているんだろう……
というケアレスミス?も少なくなかった。

批評というのは当然のことながらその性質上、
作者当人の目には一切触れずに書かれ、発表となる。
発表となっても、まず知らされることはない。
なので、たまたま何かの折に私の目に触れて、はじめて、
「お、おや!? これ、違ってるんだけど……」となった時には、間違った情報がすでに出回った後。

ですんで、こんな素敵な書評を書いてもらえた、
そう胸を張って、もろ手を挙げて喜べる書評に残念ながら、あまり出会ったことがなかった。
ま、私の話は情報量が多いんで仕方がないか……。

ところが!
今回の牧氏の批評に関しては、
「すべてにおいて的を射ている!」
読み違いのたぐいは一切なく、
これほど的確な書評に出くわし、私がびっくりしたくらい。
一読しただけでは読み手にスルーされるかもしれないなと思っていたような深い部分まで、
内容を隅々まで、きちんと汲み取ってもらえていて、
素直にとても嬉しかった!
ちゃんと通じている読者がいる。

『みがかヌかがみ』は何しろ発行部数が少ないので、
取り扱い書店もまれでしょうし、
刊行から半年ほどたって、
在庫僅少となっている本屋さんも多いとは思いますが……。

七夕の短冊にうっかり「何か」を願うとよろしくないということも書いてあります。
もちろん小説なんで、どこまでが民俗・風習における史実として妥当で、
どこからが物語の範疇なのかは、
読者の読解力にゆだねられています。

そういえば今は亡き祖母は、
テレビなどで風俗という語を耳にするたび、
「わたしらの知ってる風俗と意味がてんで違う」と、いぶかしげで、
祖母は、民俗・風習的な、フォークロアという認識で、風俗という語を使っていた。
今でも上記の意味合いは健在なのだが、
あまりにも当然のように風俗=(風俗関連営業)という意味合いで使われるケースが多いんで、
気軽に用いらんなくなりましたね。