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厚藤四郎@東博 [あ行]

先日メリル・ストリープのスピーチをネットで見ていて、えらい感情移入していたらしく、
変な力が背中に入っていて、見終えて椅子から立とうとした瞬間に背筋が攣って激痛。
スピーチを聞いて動けなくなった、文字通りに。
背筋ってちょくちょく結構、使っているのが今になってよくわかります。
寝返りが容易に打てない……。

ところで、一月四日に厚藤四郎を見に、東博に行ったんでした。
上野界隈に繰り出す用事があって、
なぜこんな正月明け早々、まだ松の内だというにだ、憂鬱な野暮用を……と思っていたのですが、
おかげで電車も空いていた。用事も早く済んだ。
天気も良いし、これはラッキーだな……。

浮かれ気分で東博まで足を伸ばしたところ、混・ん・で・い・た!
東博のチケット売り場で並んだのは、今回が初めてでした。
考えてみればまあ当然ですよね……外国人観光客や、家族連れ等々。
まず厚藤四郎がお目当てとは思えない面々で、にぎわっていた。

コインロッカーもほとんど塞がっていて、かろうじて最後の一つ二つにありつけた。

短刀、厚藤四郎は、その名の通り本当に分厚かった。物騒な分厚さ。
短刀だけれどなかなかに重そうで、これは鎧通し、確かにな……通るよな……。
重そうだけれど、長刀とちがって重心が手元に来るので、
振り回す必要はないわけですし、突進すれば使い勝手は良かっただろうなあ。

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鎧通しの効果は抜群であったろう。
反りがまったくなくて棟側がほぼ一直線。
右の写真は分厚いのが少し伝わるか……(クリック推奨)。

他にも、物吉貞宗とは違う、貞宗の短刀があったりして、こちらはかなり特徴的な刃文で美しかった。
貞宗は亀甲貞宗もそうでしたが、現物は見るからに露骨なまでに美しいです。
(私の写真が今一つなだけです……。)

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クリック推奨かも。

短刀って包丁っぽい……(包丁藤四郎は見たことがないですが、包丁藤四郎に限らず)
短刀は概して包丁っぽいから、目新しさに欠ける……というイメージがあるのですが、
短刀も美しいものは、本当に美しいんですね。

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場合によっては、お姫様も手にしたからなのか、
長い刀にくらべて、美意識や、こだわりがぎゅっと凝縮されていて、
刃文を手元でじっくり味わえる感が。
物によっては一見して区別がつきやすく、乙な世界。

長刀では、長曽祢虎徹が展示されていました。
ちなみにこちらの虎徹は贋作ではなく、真作の。
『刀剣乱舞』の長曽祢虎徹は新選組の近藤が使っていた贋作設定になっていますよね。
贋作設定は、薩長に歴史修正されていたからで、
実際は真作だったらしい説が。昨年ニュースにもなっていました。
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14778284006693
(これは有りうると思う。
ただ司馬遼太郎が新選組の歴史的概念を正したっぽい記事になってもいますが、
土方や沖田はさておき、司馬遼太郎の近藤は、本当にダメな感じなんで、そこはどうかと思う……。
司馬遼太郎によれば、土方の和泉守兼定が正真正銘の名刀真作なのに、
近藤は贋作の虎徹だったし、
沖田に至っては、幻の名剣ともいわれる菊一文字を託されるという設定でしたよね……。)

こちらの真偽はともかくとして、
展示されていたのは正真正銘の長曽祢虎徹。
大振りで、いやなかんじの切っ先でした。
今まで見てきた長刀の多くは切っ先がスッと美しい代物で、
これで斬られたら痛くないかも、という優美さを兼ね備えていた。
長曽祢虎徹は図太いというか、こいつで斬られたらドスッときてグサッと刺さって、
エグッとなって、ズンと入って無惨に痛みそう!
俄然ごめんこうむりたい感があった。

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東博は今回、酉年にちなんで、鳥にまつわる絵画が特集してあるギャラリースペースがあり、
鳥好きの私には、なにそれ天国じゃん超ラッキーな具合で、いそいそと足を踏み入れる。
おもに鶏一択で、日本画の鶏は目つきやトサカなど毒々しい物も多い。
でもひよこを描いた奴や、チャボとかも居たよ!
まっくろくろすけひよこヴァージョンみたいな、かわいい墨絵がありまして、
写真を撮ろうと思ったら、その絵は写真撮影が禁止でした。

刀剣も、絵画も、蒔絵も……写真を撮ってもかまわない品と、撮影禁止のものとがあり、
NYのメトロポリタンミュージアムの場合、シャッターをたかなければどれもOKだった記憶が。
今一つ理由がわからない。必ずしも作品を守るためという判断基準では無さそうだった。

シャッターをたかないと写せないような暗いところに飾ってある、
光への曝露を気にするタイプの品々ならば、わかるんですが、
お隣のよく似た刀剣は撮影OKで、これはダメなの?
お隣のよく似た墨絵は撮影OKで、これはダメなの?
混在していた。
必ずしもすべてが東博の持ち物ではないようだし、持ち主の意向なのかも。

「東博に初詣」というキャッチコピーが書かれたのぼりが、東博の前に大きく出ていたのですが、
たしかに仏像等もたくさん来ていた。
本来ならば初詣以上にご利益のありそうな、歴史的価値の見るからに高そうな面々が、
大小、ずらっと並んでいたが、展示の仕方が今一つ、面白みに欠けて、
仏像自体が大好きな人なら良いんだろうが、見ているうちに飽きてくる。

これは台湾で故宮博物館に行った時も思いましたが、
東洋の博物館の展示方法が生真面目すぎている、単調なゆえか。

伽藍、天井、台座……いろいろを作り上げていって、画竜点睛的な立ち位置にあった仏像と、
いわゆる「目玉部分」だけ持ってきて並んでいる仏像とでは、
空間の全体像や奥行きとの配慮が違いすぎて、
市場(いちば)に並んでいる生鮮と、ガラスケースの向こうで整然と並んでいる食品サンプルほどに、
差がありました。

本館を出た後、東洋館も寄ってみました。
こちらは一転、がらがら。
コインロッカー自体がなかったので、荷物が重かったせいもあり、
全部を見て回れませんでしたが、初めて目にする代物ばかりで、見どころがありました。

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こういうのとか。 お金がなっている樹といいましょうか。
絨毯敷のフロアで、靴底に優しい。
すでにあちこち見て回った後なので有りがたかった。

エジプトから寄贈されたミイラとかも……初めて見ました。
さなぎ状態で贈られてきたミイラの容器を上下で切って、蓋と本体という形態にして、
中を展示してあり、果たして良いのか、中の遺体をもろに見せてしまって……。
亜麻布で巻かれてはいるが。

東博に訪れたあと、岩崎邸にも寄ろうと思ったものの、足腰がもう限界で帰りました。
携帯の歩数計をチェックしたら、その日13000歩以上、歩いていた。
私にしては、ものすごく多いのであった。