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やらない理由を探し中 [や行]

『ブラッドボーン』というゴシック世界ぎゅんぎゅんのゲームをやりたくて逡巡している。
たいていはゲームのムービーを視聴して世界観を確認し、
ま、自分でやらなくていっか、
と流してきていたんだが、これはプレイしたい。

ゴシック世界のゲームはたいてい悪魔色やゾンビ色が強いけれど、
ブラッドボーンはどっちかっていうと吸血鬼系が濃厚な予感もするし……
(特殊な輸血液を補給しながら戦うとか)。
廃墟っぷりが美しく病んでるし、
おまけに口コミでは好評。やらない理由が今一つ見あたらない。



しかしこれまで私はゲーム機を所有してゲームをプレイしたことがないので、
かなり清水(きよみず)の舞台から飛び降りる意気込みが必要なんである。
なにしろ友人が、かえすがえすも「ゲームは時間とお金を吸い取る悪魔の箱」
安易に手を出してはいけないと、
自らの体験に基づいて、親身に忠告してくれるので、
掟のように肝に銘じてきていたのだ!

ゲームは最近で言えば刀剣乱舞沼に若干片足を突っ込んでいるけれど、
あれは軽微なブラウザゲーだし、
あとかつてのルームメイトの家のWiiでもって、マリオで遊んだくらい。
スーパーマリオはけっこう難しく、心折れかけた。
ゲームとはこれまでも意識的にかなり距離を置いていて、
のこる記憶はファミコン時代にまでさかのぼり、
すっごい子供の頃、親せきの家で「ギャラガー」というシューティングゲームをやった覚えが……。

ブラッドボーンはPlay Station 4のゲームなので、まずプレステ4を買わないと。
ブラッドボーンのゲームのソフト自体は数千円なので、
よっしゃやろう!
と前向きになっていたところ、
プレステ4が想像していたより高額なんで、えっ……
怯んでいる。

こんなの時間もお金も余ってる貴族の遊びじゃありませんか。
わたしは、しがない吟遊詩人みたいなもんなんだから、そんな……
でも吟遊詩人も折々のサロンの遊びをたしなむ必要が……。

かなり迷っています(……前向きに検討中ともいえよう)。

問題は時間をどう工面するかで、
刀狩りに費やしている時間を半分でもブラッドボーンにまわせば……。

刀剣乱舞もこういう重厚な装いで再構築してくれないかと願っているんだが、
スマフォ展開するなど、さらなる軽装化をはかるらしく、方向性が真逆であることよ。



共通テーマ:ゲーム

余談 [や行]

信条や思想が自分に近い登場人物で、
物語における肝を語るキーパーソンの場合、
(……性格や外見ではなく、あくまでも信条や思想が自分と通ずる部分がある場合)
長台詞を語っているうちに、作者の地が滲み出てしまうと小説として興ざめなので、
思えばわりと意識的に、声のトーンや、容姿などをきっちりイメージ作りして挑んでいるかも。

みがかヌかがみ』の場合、
瀬〆の叔父様:cv諏訪部順一(敬称略)

青天目氏と瀬〆の叔父様は声がそっくりなので、
必然的に青天目氏も、cv諏訪部順一(敬称略)で脳内再生しながら書いていました。

担当編集者の一人に、「cv諏訪部さんのつもりでした」と明かしたら、
ああ~良いですね♪
という反応でした。

声優方面にそんなに詳しいわけではないものの、
諏訪部さんに限らず声優さんはいろんなタイプの声を演じ分けますよね。
ならば諏訪部順一(敬称略)といったってどれ系の声の諏訪部さんか。
Youtubeを漁って、一番イメージに近い声質だなというのは、こちら。


https://youtu.be/wiP4_UwBvAM
悪魔のリドル 8話冒頭 

無論、小説本という形態で物語世界を表した以上、
登場人物の声をどうイメージするか等、それこそ読者の感性にゆだねられている。
これが正解とか不正解とかではない。
ただ作り手としては、こういう声音をイメージしつつ、口調を紡ぎだしておりました。

あと、獄卒・石渡連水はcv遊佐浩二(敬称略)。
京言葉風で、一から十まで胡散臭そう、イメージカラーが白、得体のしれぬ曲者といったら、
cv遊佐さんの声以外に、しっくりくる声色を思いつくだろうか。
いや思いつかない。

なお夢浄土の全編にわたり重宝される太刀・石渡連水のほうは、
さまざま刀剣の展示場を徘徊していた私が、
……これ! これがまさしく脳内刀剣・石渡連水だ!
と思う太刀に出会い、すでに小説は書き上げていたけれど、
執拗に写真に撮った携帯画像が出てきたので、画質が今一つですが一部を以下にアップ。
(クリックすると拡大します。)

2015070914250001.JPG
2015070914250000.JPG
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2015070914250002.JPG
2015070914480002.JPG

この太刀には赤字で文字が刻まれているが、
これで文字がなければ、まさに石渡連水!
(比べる対象がないので写真だとサイズがわかりにくいですが)
大きさとか色味とか反りとか刀身の姿、太からず細からず身幅尋常な存在感、
もろもろが、図太い品格と、清潔感が共存していて、
切ッ先とかまで、まさにイメージが具現化されて目の前に存在したようだったです。

人によっては、日本刀なんてどれも同じに見えるかもしれないが、
ほら例えば、こちらの刀剣と比べてみたりすると、相当、様相が異なるでしょ。

2015070914160000.JPG

てやっ!!!

刃の向きと殺傷力 [や行]

米国留学時代に、格闘技とか護身術などに詳しい知人が居ました。
詳しいだけでなく、自分自身も格闘技をやっている人が、
男女問わず、日本人でちらほらと居ました。

見るからに格闘技やってますね、という見てくれの人もいれば、
か弱い女子に見えて、有段者である人とかも。
折あらば、いろんな逸話を披露してくれるのだった。

けっこう前の話なんでうろ覚えですが、北海道出身のとあるその人は、

「地元の公衆トイレで、女の人が不審者に襲われて殺されちゃったんだけど、
その数分前に自分も同じトイレ、同じ個室を使っていたの。
もし数分前にわたしが襲われていたなら、ぜったい撃退できた。一人救えたのに」

本物だな……すごい自信! と感銘を受けた記憶があります。

かれらは護身術のコツとかを、折あらば会話の端々で教えてくれ、
また口コミでも、友人伝いに耳に入ってくるのでした。
そんな彼らが口を揃えて言う、一番怖いというのが――。

「時代劇で、父上の仇!とか言って、たすきをかけた娘さんが、
小柄(こづか)を両手で握りしめて、銅回り――帯の脇に据えた状態で、
タッタッタッタと全身で、ぶつかるように突進してくる、あれが一番、殺傷力が高い。こわい……」

剣をブンブン振り回す殺陣は、喧嘩の仕方としては上等かもしれないが、
回避する術がなくはない。
大抵の武器には、対抗できる護身術、対処法がある。

いっぽうで、上記の方法だと一番、避けにくい、躱(かわ)しにくい。
振りはらおうとか、奪い取ろうとか絶対に試そうとせず、
身近にあるもの投げつけ盾にして、一目散に逃げるが賢明。

かつて『踊る大捜査線』の映画でも、
青島刑事が、副総監・誘拐事件の犯人を確保する際、
踏みこんだ容疑者宅で、その母親に刺されて重傷を負います。
いきなりドン、と背後に女がぶつかってきて、
青島刑事が振り向いた次のシーンで、包丁でぶっすり刺されているって分かる。

……これだよ、これが怖いやつだよ……リアリティだ……

いつしかそんなふうに映画を見るようになってました。

で、刃の向き。
出刃包丁を普通に持って殺すのと、
刃を上にして殺すのとでは、殺傷力が違う、と。
力の入り具合が違うのか。
本気度も違いますよね。

ざっくりとした話ですが、
刃の向きが上向きだと《明確な殺意あり》。
刃の向きが下向きの、通常の使い方だと、
《無我夢中の正当防衛》という主張が通りやすい、
……そう一般に言われています。

で、映画とかアニメとかでも、わたしはその辺にわりと注意を払って、つい見ます。

海外の中世時代の剣は諸刃(もろは)で両刃だったりもするけど、
海外だって、ふつうのナイフは片刃だ。

気合の入っているアニメなどで、
手習い程度で刀を振るっていた登場人物が、
真剣になったとたん、俄然、刃のほうを上にし、斬りこみだしますよね。
この登場人物……本気だ……制作サイドも本気だ……と、
見ているほうもビリビリと来るわけです。

こないだまでやってたFate/Stay night(UBW)の、
セイバーとアサシンの戦いなど、顕著でした。


Saber vs Assassin 2014
http://youtu.be/v0R_CdqHtM8
(セイバーとアサシンの剣闘シーンを抜粋してまとめてあるyoutube。)

本気モードが上がると、打ち合い中の刃の角度がどんどん上向きに。
アサシンの刀は長すぎだと思うし、その切れ味で鍔(つば)がないと、自分の指まで落とさないか。
……という点はさておき。だってこの人たち英霊だし。

鑑賞のみならず、自らが小説を書くときも、刃の向きの殺傷力は、意識しつつ書いています。
刃の向きに関して、なんら関心のない人にとっては、どーでもいい描写かもしれなくも、
そこには必要な意味、こめたい状況描写が。
伝わる人には伝わってほしい、そういう心理を投影して書いていたりする。

いま『カンパニュラの銀翼』の英訳チェック中なのですが、
シグモンドが袖の内側の仕込んでいた、銀のナイフを使うシーンで。
《シグモンドは左手でベネディックの肩を強く摑み、抱き寄せると右腕を背中にまわした。
右手の短剣を裏返して刃を上にし、自分向きに逆さに手首を返すと、~(以下略)~》

小さな武器で(おまけに膝を突いた体勢なのだ)、
必要最低限の力でも、すみやかに最大限の殺傷力を及ぼせるだけの努力と工夫として、
ナイフを裏返し、わざわざ刃を上にする。
動揺しつつも、そのひと手間を取るだけの冷静さを保ってもいる。
短い文だけれど、シグモンドの本気度がひっそり表われる行為なのですが、
英訳では、シグモンドが刃を上に向けるフレーズが、なんとそっくりカット。

Sigmund gripped the baron's shoulder firmly with his left hand, and threw his right arm around his back as if to embrace him. Turning his right wrist so that the blade faced back towards him,~(以下略)

無いぞ……刃を上にする一文が見あたらない。

前文の原文で、銀のナイフと書いているものの、
この文章では、短剣としているため、両刃のダガー(dagger)の類だと思われたか。
それで刃の向きを変える描写が、辻褄があわないと、削除されたか……?
そう想像しかけたものの前文できちんとknife(ナイフ)と訳されている時点で、片刃。
当該文章の短剣=bladeとなっている。
bladeって必ずしも両刃なのかなあ、両刃だとしたらそこから指摘せねばならないわけだが……。
(ここでは短剣というよりも、むしろ刀身という意味で使われていると思うのよ。)

そもそもhim his が一文に多い文章で、
ひとつの文に、
his left hand、
his right arm、
his back、
him
と、つぎつぎ出てくるが、これちゃんと通じるのかしら?

his left hand→シグモンドの左手
his right arm→シグモンドの右腕
his back→ベネディクトの背中
him→ベネディクト
という意味で、
合間にSigmundともBenedictとも書かれてないのに、
himやhisの代名詞が誰を指すかが、同文のうちでスイッチしている。

himがベネディクトを指した、つづく次の文頭、Turning his right wrist→
シグモンドの右手首……。
これ初読の読者にすんなりと区別がつくのか。混乱を来さないか?

どう赤ペンを入れたらいいか、思案中。

友人申請してないです [や行]

大学時代ルームメイトだった友人Aから連絡が来て、
「フェイスブックでnakazato yukaから友達リクエストきたんだけど、ゆかじゃないよね?」

わたしじゃないです!
誰それ、同姓同名?

「なんか最近そういうの多いみたい」

なに!?
友達の友達です的な似非つながりを利用したり、
さも同一人物・別アカウントみたいな顔をしたフィッシング詐欺の入口的な?
騙(かた)り……?

「目的わかんないけど気持ち悪いねー」

やだねー

……というかんじで私はフェイスブックの友人申請とやら、してないですし、
そのnakazato yukaは私じゃないです。


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予想の斜め上 [や行]

輪るピングドラム#23。

たぶん次回が最終回だと思うんだが、予想がつかない。
毎度、少しずつ予想の斜め上をいく展開。

基本的には、ようく考えてみると、
最初からほぼ同じ事を繰り返しているだけのストーリーなのにもかかわらずだ。

つまり、
→ひまりが死ぬ、あるいは死にかける
→冠葉と晶馬の双子の兄弟が奔走しまくり、なんとか妹のひまりを蘇らせるあるいは助ける
→代償にひどい重荷や責務を負い、犠牲を払う
→ひとときの『平凡な幸せ』ごっこ。その水面下で……

この繰り返し。

本当は双子じゃなかったり、妹じゃなかったり、偽装家族だったり、
あの人がテロの被害者だったりこの人が加害者の身内だったり、
イケメンの医者が幽霊だったり首謀者だったり、
もうなんかいろいろ暴かれつつも、基本はこの繰り返し。
この繰り返しの合間に、おのおのの秘密や素性や動機や本音が明らかにされていく。
至って単純な展開。

その流れの中で、各自の負荷やひずみが徐々に大きくなってきて、
もはや主要登場人物たちは、殆んど救いの手が付けられない状況にまで陥っているわけだが。
場面の見せ方と、演出のおかげで、もうどうなるのか、
最終回まできて、さっぱりわからないや。楽しみだ。
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やったぁ~と [や行]

「ラルク本格再始動」
という元日ニュースに、おおいに舞い上がるも、

「年末のNHK紅白歌合戦出場の、ラルク・アン・シエルは……」
とかいう文字に、

"え?"

固まる。紅白出てたの!?

ラルクが紅白なんてノーマークだった、もうばか私。
紅白はスルーしてた(……前半に出てたんですねー)。
学生時代、アメリカに住んでたとき、紅白だけは向こうの日本語チャンネルで見られて、
確かにラルクが「HONEY」をやってたんだ。

だからラルクと紅白って、決してありえない組み合わせじゃなかったのに、うかつ!
日本に住んでいながらにして逃すなど、ほんと自分を許せないくらいだわ。
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床下の住人 [や行]

ベッドで『秘密の花園』の本を賢そうに開いてたり、
「きみはぼくの心臓だ」
そんなどこかで聞いたことがあるような甘い台詞が飛びだしたり、
かかる、あま甘ハートフル胸キュン夏映画を見てきたあとには、
こういうのが見たくなる。
人間の性分ってものです。

小さい人たちの、ほんわかな借りぐらしを見てきたあとだと、
同じファンタジーでも、この映画の過酷な暗さはよけい胸にこたえる。

「パンズラビリンス・人喰いの食卓」
Child Eating Pale Man from Pan's Labyrinth


この子だってパジャマにガウン、
同じように寝間着で、なにがしに遭遇する場面であっても、
床下の住人の質が、違いすぎるよ。

この化けものは、スペイン土着か、創作なのか、類まれな気持ちわるさ。
「人喰い」の爪は、血が乾いて黒ずんでいる。

食卓の食べ物に手をつけてはいけないと、きつく禁じられていたのに。

「その葡萄二つぶが、とびっきり美味かったことを望むよ」
「なんて愚かな、お馬鹿な子なんだ!」

という評価の高いコメントに納得せざるをえない。
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夢みる惑星 [や行]

SF&ファンタジーの理知的な漫画を得意としている、佐藤史生先生の訃報を知りました。
ポスト24年組、萩尾先生の影響を受けているのは作品を読むとひしひしと感じる反面、
これが数段クールで頽廃的で図太さがあって(しかし絵はおもに硬質で線が細いかんじ)
異質でものすごく卓越した話を描いている、
というのを、私は四年ほど前に初めて知ったのです。

友人が「友香さん絶対好きだとおもうから」と有無を言わさず貸してくれ、
えーそうかなーと半信半疑で読み出したら、好きとかいうレベルじゃなくなんだかすごかった。
読ましてもらった漫画で、いまでも手に入るものは、即決落札したおぼえが。

最初に読んだのはハヤカワ文庫から出ている「天界の城」という短編集で、
これはいまでも普通に購入できる。
しょっぱなの「阿呆船」からすごいんだが、全ての短編において、すさまじい世界観が展開。
設定がまずものすごく凝っているんだが、それを、すごいだろ! ……と、ひけらかさないで、
淡々と展開しながら、
個性的な登場人物が、怜悧かつ情熱的に動く。
理知と情動の二刀流なのが、ナイーヴすぎない、大人に開き直ってる感じがあって、
なんか他に追随を許さないのだ。

短編の中で私は「やどり木」が一番好きで、長編では「夢みる惑星」が一番好き。
日本SF新人賞の受賞の言葉をSFJapanに掲載することになったとき、
私は、影響を受けた……あるいは私の器では影響なんか受けられないくらい大きな作品
夢中になった、今も好きな作品を、勝手に列挙している(SFかゴシック系にかぎり)。
たとえば(以下敬称略)萩尾望都のポーの一族や、
ナウシカやラピュタなど宮崎アニメ、
銀河鉄道999やら、
エミリー・ブロンテの嵐が丘、
太宰治で短編ならフォスフォレッセンス、
シオドア・スタージョンの夢見る宝石、
映画は、ガタカとサンシャイン、
銀河鉄道の夜も挙げたんだっけ……な中に、
もちろん佐藤史生の「夢みる惑星」と「やどり木」も。

佐藤史生は、いわゆるHigh concept Sci Fiの世界と、
土着で神話でファンタジーな感じを融合させていて、
言ってみればかなりSF真っ向勝負な作品を、独特な精緻な筆でつむいで代表作に残している。
にもかかわらず、気づけば日本SFクラブにも組み込まれていない。
こういう先生の意図が反映されなかったなんて残念すぎる。

「夢みる惑星」は、神話の裏側を捏造していくような感覚*が、うきうきする。
おまけに登場人物のずるがしこさが、良い感じに発揮されるところが、私にはツボだった。
最初主人公のイリスは「みるもたよりない風情のお子」で、銀の瞳に銀の髪、
女の子みたいに綺麗で弱々しくナイーヴ、
馬鹿真面目で、ひとの言うことをいちいち真に受けて、おい寝こむのかよ。
あ、こういう路線の主人公ね、と思って読んでいく。
……と、次の章で若者になったイリスは「妙なぐあいに腹のすわった青年になりました」

神殿での修行のあいだ、遺跡から出た経典をまじめに写経していたイリスは、
神殿をぬけだしてとある画策をしている。
斎王イリスが居なくなっちゃったんで、
神殿側は内密に捜索の手をまわしている。と、周旋屋に、写本を売りつけられる。
それが「長老じこみの見事なゴアキール署名体」で、
イリスの写経なんだよな。
イリス、修行の成果物である写経を、周旋屋にふっかけ路銀づくりの元手にしていたわけよ。
神殿でまじめくさって熱心に写経してたのは、もとよりちゃっかり偽造して売っぱらう目論見。
あとで長老に見つかって、ぐちを言われても、やはり300タウスで売ったのは高すぎたか? とか、
のほほんと抜かすありさま、最早まったく悪びれない。
ま、周旋屋がそれを1万タウスで売りつけられるだけの、いい仕事をしているので、
損させてないんだけど。

イリスは幻視者として神殿に担ぎあげられていても、
実際自分に幻視能力がほとんどないことを過剰なくらい自覚していて、
(幻視のインプットは相手によってできるが、アウトプットができないんだよな。)
そのぶん舌先三寸、超化学を駆使して、そこらの幻視者以上のカリスマ性で民衆を動かそうとする。
神殿の長老たちにむかって、
お前らが私を使い物になる大神官として担ぎあげるなら、やってやる、
かわりに邪魔となる本物の幻視者を残らず殺せ、
などと平然と命ずるのだ。いつもは虫も殺さない性格しているくせによ。

(あ、そういうところ、なんかコードギアスのルルーシュにも似てるなあ。
たった一つのギアスを頼りに、あとは頭脳による演出作戦、
たとえ自らはエセな偶像であっても、少ない味方と、手を組むべき手ごわい相手とで、
どれだけ民衆を救済できるか、みたいな。だからどっちも私のツボなのかー。)

佐藤史生先生の、知る人ぞ知る、だけどなぜか広くは知られていない名作を、
どうかこれを機に、一人でも多くの人に読んで欲しい。
遅すぎるなんて事はない。
損はしないから。

*


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