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和泉守兼定@土方歳三資料館 [あ行]

兼さんにまみえるために!
日野の土方歳三資料館に!
行ってきましたよ! 11/18日に。

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(クリックすると拡大します。)

新選組や、その鬼の副長・土方歳三、
沖田総司、斎藤一あたりは、まぁなんていうか、誰もが通る道ではないかと思われ。
私も例外ではないのであった。

新選組発祥の武州に住んでいるのに。
司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読むと、前半なんて土地勘があるというのに……
土方歳三資料館に行ったことがないなんて。
と、かねてより、ずうっと行きたいと思っていたのだ。

しかし土方歳三の子孫のかたが自宅を改造して、
不定期にオープンしている、小さな資料館です。
GWの時期に開くと、いつも激混みであるという情報で、腰が引けていた。

土方さんはいつでも何かしらのメディア作品に登場していて、いつも人気キャラだし、
ゆえに土方歳三資料館の開催日は混雑を極めるとの話で、
それは土方歳三の愛刀、和泉守兼定が刀剣乱舞で一躍、脚光を浴びる前からなのです。

刀剣乱舞で和泉守兼定が広く知れ渡るようになってからはもう、
長蛇の列が半端ないともっぱらの噂……。
これはもう数年は無理だなと諦めていたのですが、
今年の秋は、刀剣ファンの意識は多くが京都に向いている。
『銀魂』も連載が今年の夏に終わっている。

まあゴールデンカムイは絶賛連載中だし、ほかにもあのゲームやこのゲーム……とありますが、
以前よりは、ましだよきっと! 狙い目かも!
と赴いて、果たして、大正解であった。

JR中央線の立川駅から南口に出て、
多摩モノレール立川南駅から、3駅目です。
多摩モノレールに乗るのは初めてで、多摩川を越えるときに若干テンションが上がる。

荷物が多かったので、万願寺の駅でコインロッカーを使いました。
立川駅では、どこのコインロッカーも全滅で、鍵が一つも残っていなかった。
万願寺駅のコインロッカーは、数は少ないけれど、ほとんどがあいていたので助かった。
(土方歳三資料館にコインロッカーはありません。)

なお私が一番最初に新選組という存在を知ったのは、
年末時代劇の『白虎隊』で、
土方歳三を近藤正臣、
近藤勇を夏八木勲、
沖田総司を中川勝彦(しょこたんの夭折したお父さん)が演じていた作品。
当時、私は小学生だった。

次は映画の『御法度』で、これは私世代はみんな好きだったですよね?
沖田を演じた武田真治が、めっぽう良かったのが記憶に残っています。
ご存知、司馬遼太郎の『新選組血風録』に収録されている短編数編をベースに、
大島渚監督が撮った映画ですが、
沖田の何が良かったって、司馬遼太郎の沖田がそのまま映画に出てるよお……という。

からッと無邪気で、隊士みんなに好かれていて、
病で臥せりがちでも、腐らず、明るく、
なにより太刀筋と勘が良い。
という沖田のまんまだった、あれは。

私がそう感じただけではなく、エヴァの庵野監督が、
NHKのトップランナーの収録で、武田真治に直接そう言っていましたものね。
「いやあ、沖田、すごく良かったじゃないですか、御法度の!」

「いえいえ、あれは大島監督がお弁当くれるっていうから、行ったら
(ちょい役だと思っていたら)、思いのほか……」
と、武田真治が笑いながら謙遜して答えていた、
その一連のやりとりはオンエアではすべてカットされていた。

その新選組血風録の作中で、沖田総司が菊一文字を使うので、
刀剣乱舞をプレイし始めるまで、私は沖田が菊一文字を所持していたと信じ切っていた。
ごめんよ加州清光、おかげで初期刀にしそこねた。

『銀魂』でも沖田は菊一文字RXを使っていますし、
司馬遼太郎の作品は、歴史物の教科書的な立ち位置にあるから、
後発の作品が司馬遼太郎をお手本に、作中のネタをどんどん使うんですよね。

司馬遼太郎の作品内で、近藤勇が贋作の虎徹を使いますが、
一説によると実は本物で、薩長の歴史改竄、近藤へのネガティヴキャンペーンにより、
「贋作だった説」にされたという見解もあるとかですもんね。

そんな司馬遼太郎作、土方歳三を主人公にした『燃えよ剣』では、
土方歳三は名刀である和泉守兼定を、
ある種、闇ルート的な方法で破格で手に入れ、それをずっと使います。

本当のところは松平容保が第十一代兼定を、京都守護職の折にお抱え刀工として雇い、
この第十一代兼定=二代目以来の「和泉守」兼定が鍛刀したのが、
土方歳三の愛刀「和泉守兼定」で、
会津藩主・松平容保が歳三に下賜したものであったそうです。
今回、資料館に行って、知りました。

資料館の手前に新選組饅頭だかが出店で売りに出ていて、
そこがごったがえしていたので、一瞬、長蛇の列かと慌てましたが、
資料館には待つことも、列に並ぶこともなく、すんなり入れたのでした。
刀剣乱舞の審神者と見られる人はチラホラ、
あとは往年の歴史ファン、新選組ファン、土方ファン、といった年齢層の高い面々。

入館料500円で、靴を脱いで、下駄箱において上がります。

肝心の刀剣、和泉守兼定は、とにかく大振り。
長くて、身幅もあり、立派!
刀剣乱舞で当初、太刀組に入れられていたのも頷けます。
一般的な打刀の概念で打刀と言われても、俄かには信じがたい。
時代的に打刀として括られているのですよね、おそらくは。

国宝太刀・大包平よりは小さいけれども、
石切神社の御神刀である平安の大太刀・石切丸よりは、ゆうに大きい。
厚みもあり、したたかに野太く、頑丈そうで、何よりすごく重そうなのが見て取れる!

個人経営の資料館なので、ライティングがスポットライト的に当たってはいないため、
地肌の美しさを堪能する、といった感じの鑑賞はそこまで出来なかったし、
写真撮影も禁止。
それでも刀の前にかがみこんでショーケースにへばりついて見るだけの余裕はあり、
皆、順繰りに、そうやって鑑賞していけます。

和泉守兼定の磨いた地肌が鏡のようになって、私の顔が映ったときには、
一瞬、すごく不思議な気分に囚われました。
この刀剣に、土方歳三は己の姿を映してみたことが幾度となく有っただろう。
架空の人物のように思えていた土方さんが、
和泉守兼定という刀剣を通じて、
地続きで、私までつながって感じられてくるみたいな、奇妙な実感があった。

刃文は一見して、白くモクモクッと雲居に漂う感じです。
専門用語的にいうと、おそらくモクモクっと感じる部分は、
「……三本杉の頭が比較的揃う高低差のない互(ぐ)の目……」(土方歳三資料館のパンフより抜粋)
であったり、
雲居に漂う感じは、
「小沸出来で匂口冴える」(同パンフより抜粋)
に、あたるのではなかろうかな。

箱館にて、土方歳三が市村鉄之助に託して、
日野の生家まで届けられた当時は、刃こぼれが凄かったようです。
綺麗に研いであるので、いまは刃こぼれは見られません。
刀剣以上に、ある種、目を引くのが、その和泉守兼定の拵(こしら)え。

鮫皮の柄に、柄巻は「幅の狭い黒糸の小菱巻」
このグリップ部分がよれて擦り切れていて、土方歳三の手汗とか握力とかの名残が、
当時そのままに、まざまざと目に見えるのだ。

刀剣乱舞的に見るならば、随所に兼さんの衣装に反映されている、
鞘の色、鞘尻の形、ポイントの鳳凰など……
本当に和泉守兼定……一色です!

土方歳三資料館にある名刀、和泉守兼定は、
土方歳三とは切っても切れない刀で、
代々、数々の武人や貴人に受け継がれてきた名剣・名刀と異なり、
唯一無二、土方歳三ひとりの刀! 
……なのでした。

個人的に私は、土方歳三は京都で新選組副長として御用改めをしていた時代よりも、
戊辰戦争で敗戦色が濃厚になって、
甲府城で戦うあたりから、どんどん好きになる。
もろ司馬遼太郎の『燃えよ剣』の影響です。
なにしろ猛スピードで進化していく疾走感が物凄く、
大政奉還後、北へ北へと、やがて箱館に着いて、アボルダージュの海戦のところで超滾る。
その箱館時代に共に戦った榎本武揚が、
のちに土方歳三について語った台詞、
『入室伹清風』という書額も展示されていました。
おおお……。

また資料内で興味深かったのが、
「碧血碑」(へきけつひ・へっけつひ)という言葉。
かの有名な乙女ゲー『薄桜鬼*』で、
『薄桜鬼 碧血録』というヴァージョンが有るらしいことは知っていた。
数年前に、ある仕事関係の人が、
「薄桜鬼、へっけつろくって……サブタイトルがダサすぎる……」
といったような事を口にしていたからである。

「どう書くんですか?」
と、私。
「碧い血とかいて……」
「字は素敵ですよね?」
「でも響きがさぁ……」
碧血とかって、中二病すぎて痛すぎる、というニュアンスに聞こえたが、
私は適切な反論ができなかった。

今回、土方歳三資料館の展示物で、
碧血という文字を見つけ、
碧血録という言葉は中二病的なサブタイなんかではなく、
箱館戦争の旧幕府側の死者を弔った「碧血碑」にちなんでいたのだな、と初めて知ったし、
もっというと、その碧血碑という言葉は、碧血という故事由来の言葉にあやかっているのだ。
いろいろと発見があった。

土方歳三資料館は、
土方歳三の京都時代の鉄兜や、鎖帷子の具足や、
歳三が読んだ、豊玉発句集などの展示もあって、
パンフレットも満足のいく内容。

万願寺駅から徒歩で近いですし、
日野には他にも、新選組・最年長の源さんこと井上源三郎資料館とか、
土方歳三のお墓とかもあるので、足を伸ばしても良さそう。
土方歳三資料館のもよりの万願寺駅は、かなり長閑な風景の広がる場所で、
立川駅で乗り換えたときよりも、周辺は確実に肌寒かった。

資料館はこの連休も開いていて、和泉守兼定の展示は25日まで。
刀剣好きのみならず、新撰組好きや幕末好きは、見にいって損はありません。
小規模で地味ですが、ときには通説とは異なる土方歳三の実像に迫っていて、
中身が濃いので、おススメです。

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(いずれの写真もクリックすると拡大します。)
この立て看板の文面だけでも、既に内容が濃い。

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資料館の向かいの道路に、綺麗な水路が流れていました。

*なお「薄桜鬼」について。
ゲーム全般において、私は未プレイ。
2010年のアニメ一期「薄桜鬼~新選組奇譚~」は齧ったことがある。当該アニメは土方ルート。
そのアニメで私は、攻略対象の中で唯一新選組ではない、
純粋な鬼の一族の風間千景が推しだった。
出番はあまり多くないが、なにしろ悪そうにゆったり話す津田健次郎の声が、
「俺を蝦夷へと連れていけ」
とか船に乗りこんで言うんですよ。

新選組が好きで、おまけに吸血鬼が好き、
しかしどうも私には両者の喰い合わせが甚だ悪くてですね。
時代の寵児で、若い命を戦で無残に散らしていくのが肝である新選組。
その新選組が吸血鬼化するというのが、
……なにしろ永遠の命で時代を越えて生き永らえていくさみしさとか、やるせなさとかが吸血鬼の肝なので、
脳内で消化不良を起こし、良さが相殺されて、うまく味わえきれなかったのだ。